近年、日本でも注目を集めているIFRS(国際財務報告基準)。会計士として、その導入を検討している企業も多いのではないでしょうか?
この記事では、会計士の視点から、IFRS導入のメリットとデメリット、そして導入に際して考慮すべきポイントについて解説します。
目次
1. IFRSとは? 会計士が知るべき基本知識
IFRSは、International Financial Reporting Standards の略称で、国際的に標準化された会計基準のことです。
世界共通の会計基準として、2005年にはEU域内上場企業に適用が義務化され、現在では140カ国以上で採用されています。
日本の会計基準は、IFRSと比べて細則主義で、詳細な規定が設けられています。一方、IFRSは原則主義で、原則に基づいて判断することが求められます。
2. IFRS導入のメリット:会計士が期待できる変化
会計士の立場から見たIFRS導入のメリットは、主に以下の3つに分けられます。
2-1. 監査業務の効率化
IFRSでは、原則主義を採用しているため、監査においては、細かなルールに基づいてチェックするよりも、原則に基づいて判断が行われます。
そのため、監査業務の効率化が期待できます。特に、海外子会社を持つ企業の場合、IFRSを導入することで、監査業務の統一化が図れるため、監査コストの削減にもつながるでしょう。
2-2. 国際的な会計知識の習得
IFRSを導入することで、会計士は国際的な会計基準に関する知識を深めることができます。
これは、会計士の専門性を高め、グローバルな活躍の場を広げる上で大きなメリットとなります。
2-3. 企業とのコミュニケーションの円滑化
IFRSを導入している企業は、会計士とのコミュニケーションがスムーズになる傾向があります。
IFRS導入によって、企業の会計担当者も国際的な会計基準に関する知識を深めるため、会計士との間で共通認識を持ちやすくなります。
3. IFRS導入のデメリット:会計士が直面する課題
IFRS導入には、会計士にとって、以下のような課題も存在します。
3-1. 学習コストの増加
IFRSは、日本の会計基準とは異なるため、会計士は、IFRSに関する知識を新たに習得する必要があります。
これは、学習コストの増加を意味し、会計士自身にとって負担となる可能性があります。
3-2. 監査業務の複雑化
IFRSは原則主義を採用しているため、監査においては、ケースバイケースで判断する必要があり、複雑化することがあります。
特に、注記の開示が複雑になるため、監査業務に時間がかかる可能性もあります。
3-3. 監査報酬の増加
IFRS導入に伴い、監査業務が複雑化するため、監査報酬が上昇する可能性があります。
4. IFRS導入に際して会計士が考慮すべきポイント
IFRS導入を検討している企業に対して、会計士は以下のようなポイントを考慮する必要があります。
4-1. 企業の規模と業種
IFRS導入は、企業の規模や業種によって、必要な準備やコストが異なります。
中小企業の場合、IFRS導入に伴うコスト負担が大きくなる可能性があります。また、グローバル展開を行っている企業であれば、IFRS導入によって、海外子会社との連携強化が期待できます。
4-2. 導入時期とスケジュール
IFRS導入には、十分な準備期間が必要です。
企業は、導入時期とスケジュールを明確に設定し、会計士と協力して、スムーズな移行を進める必要があります。
4-3. 従業員への教育
IFRS導入に伴い、企業の従業員は、新しい会計基準を理解する必要があります。
会計士は、従業員向けの教育プログラムを設計し、導入を円滑に進めるためのサポートをする必要があります。
5. まとめ:会計士はIFRS導入をどのように支援できるのか
IFRS導入は、企業にとって大きな変化をもたらすものです。
会計士は、IFRSに関する専門知識を活かし、企業がスムーズにIFRSを導入できるよう、以下のような支援を行うことができます。
- IFRS導入のメリットとデメリットを説明する
- 導入計画の策定を支援する
- 従業員向けの教育プログラムを設計する
- 監査業務を効率化するためのサポートを提供する
IFRS導入は、会計士にとっても大きなチャンスです。
国際的な会計基準に関する知識を深め、企業のグローバル化を支援することで、会計士としての価値を高めることができるでしょう。