看護師として、あなたは毎日、多くの患者さんの命と向き合い、献身的なケアを提供しています。その責任感と献身性こそが、あなたを素晴らしい看護師たらしめているのです。しかし、その一方で、看護師は仕事柄、高いストレスにさらされる職業でもあります。
目次
看護師のメンタルヘルス:深刻な問題
近年、看護師のメンタルヘルス問題は深刻化しています。長時間労働、不規則な勤務、責任の重さ、患者や家族からの要求など、様々な要因がストレスとなり、うつ病や burnout などの精神的な問題に繋がることがあります。
看護師が抱えるストレスの原因
看護師が抱えるストレスの原因は様々ですが、以下のようなものが挙げられます。
1. 仕事量の多さ
- 慢性的な人員不足
- 患者数の増加
- 重症患者の増加
- 事務作業の増加
2. 不規則な勤務体制
- 夜勤
- 交代勤務
- 休みが取りづらい
3. 重い責任
- 患者さんの命に関わる仕事
- 医療ミスに対する責任
- 患者や家族からの期待
4. 職場環境
- 人材不足による負担増加
- 人間関係の悪化
- 職場での暴力やハラスメント
5. 自己肯定感の低さ
- 自分自身の能力に自信が持てない
- 周りの人に認められない
- 仕事にやりがいを感じられない
これらのストレスは、単独で作用するだけでなく、複合的に作用することで、より強いストレスを生み出します。
ストレスは放置すると危険!
ストレスは、放置すると心身に様々な悪影響を及ぼします。
- うつ病
- 不安障害
- パニック障害
- 睡眠障害
- 消化器症状
- 頭痛
- 集中力の低下
- 倦怠感
- 人間関係の悪化
- 離職
ストレスに気づかず放置してしまうと、これらの症状に繋がってしまう可能性があります。
看護師のためのメンタルヘルスケア
看護師のメンタルヘルスを改善するためには、個人の努力に加え、職場全体で取り組む必要があります。
1. 自分自身でできること
- ストレスに気づくこと
- ストレスに気づくことは、対処の第一歩です。
- 自分のストレスサインを把握しましょう。
- 例:イライラしやすくなった、眠れない、集中できないなど
- ストレス解消法を取り入れること
- ストレス解消法には、様々な方法があります。
- 自分に合った方法を見つけて、積極的に活用しましょう。
- 例:運動、音楽鑑賞、読書、温泉、アロマテラピー、ヨガ、瞑想など
- 休養をしっかりとること
- 睡眠不足は、ストレスを増幅させます。
- 睡眠時間をしっかりとって、心身のリフレッシュを図りましょう。
- 食事に気を配ること
- 食生活は、心身に大きな影響を与えます。
- 栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 健康的なライフスタイルを心がけること
- 適度な運動、睡眠、食事など、健康的な生活習慣を心がけましょう。
- 相談すること
- 職場の上司や同僚、家族、友人などに相談しましょう。
- 専門機関に相談することも有効です。
- 例:産業医、精神科医、カウンセラーなど
- 自分の価値観を見つめ直すこと
- なぜ看護師になったのか、どんな看護師になりたいのか、自分の価値観を見つめ直しましょう。
- 自分自身を大切にすること
- 看護師として、患者さんのために尽くすことは大切ですが、自分自身も大切にしてください。
2. 職場全体でできること
- 労働時間の改善
- 残業時間の削減、休日取得の推奨など、労働時間の改善に取り組みましょう。
- 勤務体制の改善
- 夜勤の負担軽減、交代勤務の改善など、勤務体制の改善に取り組みましょう。
- 職場環境の改善
- 人間関係の改善、職場でのハラスメント防止など、職場環境の改善に取り組みましょう。
- メンタルヘルスケアの研修
- ストレスマネジメント、心の健康に関する研修を実施しましょう。
- 相談しやすい環境づくり
- 相談しやすい雰囲気作り、相談しやすい窓口の設置など、相談しやすい環境づくりに取り組みましょう。
まとめ
看護師のメンタルヘルスは、看護師自身、職場全体で取り組むべき重要な課題です。ストレスに気づき、適切に対処することで、心身ともに健康な状態を維持し、より良い看護を提供することができます。
参考記事
- 看護師のストレスの原因は?5つの対処法もご紹介
- メンタルヘルスケア | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
- 心の健康を保ってよりよい看護を! 看護師のストレスマネジメント …
- 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」厚生労働省
- 「看護職の働き方改革の推進」公益社団法人日本看護協会
- 「5分でできる職場のストレスセルフチェック」こころの耳 (厚生労働省事業)
- 「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況 (平成26年度結果)」厚生労働省
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