プロット構成:脚本を動かす骨組みを理解する

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脚本家にとって、プロット構成はストーリーの土台であり、物語を動かすための設計図です。魅力的な物語を生み出すために不可欠なプロット構成の基礎知識を、これから脚本家を目指す方、スキルアップを目指したい方、そして脚本家を採用したい人事や経営者に向けて解説します。

プロットとは?

プロットは、脚本全体の構成を短くまとめたものです。シーンごとに書く内容をまとめ、セリフにするだけという状態まで書き込む場合もあります。登場人物の行動を書き込み、物語の筋道を示す重要な要素となります。

あらすじ・構成・プロットの違い

  • あらすじ: 観客に「表向き」に見えるものを小説のように書いたものです。観客がこの作品を通じてどのような体験をしていくのかが、短時間で理解できます。観客の視点で書くことが重要です。
  • 構成:
    • 観客の印象の連鎖: 観客に対して、まずこう思わせて、次にこんなことを感じさせて、さらにこう思わせる、という観客がどう楽しんでいくか、の順番を表したものです。
    • キャラクターの行動原理: そのシーンに登場するキャラクターが「なぜ」そのような行動をするのか、それを端的に書き表したものです。それはすなわち、作中に起こる様々な出来事が「なぜ」起こるのか、作中に「何が」必要なのかを示したものともいえます。
  • プロット: 2つの意味の構成をきちんと考えた上で、読みやすくまとめたものです。構成入りのあらすじ、と言ってもいいかもしれません。これを読めば、全てのシーンのキャラクターの行動原理も、観客からどう見えるのかも分かります。 参考記事

あらすじ・構成・プロットの例

◇あらすじ

町にやってきた少年Aは、そこで少女と出会い、命を救われる。

◇行動の構成

  • 家族を失い、やっとのことで町にたどり着いた少年A。
  • 空腹に耐えかね、盗みを働こうとするが失敗し、袋だたきにされる。
  • 体力も気力もつき、このまま死んでしまおうかと考えている。
  • 少女Bがやってきて、パンを渡される。

◇プロット

戦前のヨーロッパ。貧しい身なりをした少年が、フラフラと町に入ってくる。にぎわう町の市場で盗みを働いた少年は、店主袋だたきにされるが、町の人たちはそれを気にする様子もない。やがて店主は去り、倒れたまま動かない少年。少年の目は、ぼんやりと空を見つめている。そこに、同じように貧しい身なりをした少女が、おずおずと近づいてくる。「あの…」少女は、少年に小さなパンのかけらを差し出す。

構成は、自分が書くべきものを自分できちんと理解するために整理するものです。 参考記事

プロット構成の基礎:三幕構成

プロット構成には様々な手法がありますが、最も基本的なものの一つに「三幕構成」があります。三幕構成は、物語を「幕」と呼ばれる3つのパートに分けて構成する手法で、映画やドラマ、舞台など、様々なジャンルの脚本に用いられています。

三幕構成の構成要素

  1. 第一幕:導入部
    • 設定: 物語の舞台、時代、登場人物、世界観などを観客に提示します。
    • 登場人物の目標: 主人公が抱える問題や目標を明らかにします。
    • 事件: 物語の転換点となる出来事が起こります。
    • 第一幕の終わり: 主人公は事件によって、現状から変化を迫られます。
  2. 第二幕:展開部
    • 試練: 主人公は、目標達成のために様々な困難に立ち向かいます。
    • 葛藤: 主人公は、内面的な葛藤や対人関係のトラブルなど、様々な葛藤に苦しみます。
    • 転換点: 物語のクライマックスへ向かうための重要な出来事が起こります。
  3. 第三幕:決着部
    • クライマックス: 物語のピークとなる場面で、主人公は最大の試練に立ち向かいます。
    • 決着: 主人公は試練を乗り越え、目標を達成するか、または新たな課題に直面します。
    • 結末: 物語の終わり方です。観客に何かしらのメッセージや余韻を残します。

三幕構成の例:映画「スター・ウォーズ」

  • 第一幕: ルーク・スカイウォーカーは平凡な生活を送っていましたが、帝国軍の襲撃によって運命が変わります。
  • 第二幕: ルークはジェダイの騎士であるオビ=ワン・ケノービから修行を受け、力を身につけます。彼は反乱軍に加わり、帝国軍との戦いに巻き込まれていきます。
  • 第三幕: ルークはダース・ベイダーとの戦いに挑み、帝国軍の支配に終止符を打ちます。しかし、新たな戦いが始まることを予感させる結末で物語は終わります。

プロットポイント:物語を動かす重要なポイント

三幕構成の中で、物語を動かす重要なポイントとして、「プロットポイント」があります。プロットポイントとは、物語の展開を大きく変える、重要な出来事やシーンのことを指します。

プロットポイントの種類

  • 第一幕のプロットポイント: 物語の序盤で、主人公の目標や動機を明確にする出来事です。
    • 例:主人公が故郷を離れる、主人公が大切なものを失うなど。
  • 第二幕のプロットポイント: 物語の中盤で、主人公の目標達成を阻む新たな障害となる出来事です。
    • 例:主人公が裏切りに遭う、主人公が新たな敵と出会うなど。
  • 第三幕のプロットポイント: 物語の終盤で、主人公が目標達成に向けて最後の決断を迫られる出来事です。
    • 例:主人公が最大の危機に直面する、主人公が仲間との絆を深めるなど。

プロットポイントを活用したストーリー展開

プロットポイントは、物語に変化と緊張感を与える重要な要素です。それぞれのプロットポイントで、主人公の行動や目標、関係性が変化し、観客の関心を維持することができます。

プロット構成の応用:起承転結

「起承転結」は、日本の伝統的な物語構成であり、脚本にも応用することができます。

  • : 物語の導入部であり、主人公と舞台、設定などが提示されます。
  • : 物語が展開し、主人公は様々な課題や葛藤に直面します。
  • : 物語の転換点であり、主人公の運命を大きく変える出来事が起こります。
  • : 物語の結末であり、主人公は試練を乗り越え、成長を遂げます。

プロット構成を効果的に活用するためのポイント

  • 観客の共感: 主人公の目標や動機、葛藤に観客が共感できる物語にすることが重要です。
  • 予測不能な展開: 観客が予想できないような展開を取り入れることで、飽きさせない物語にすることができます。
  • 明確なテーマ: 物語を通して伝えたいテーマを明確にすることで、深みのある物語になります。

まとめ:プロット構成は脚本の基礎

プロット構成は、脚本家にとって最も重要な要素の一つです。三幕構成やプロットポイント、起承転結といった手法を理解することで、魅力的で観客を引き込む脚本を作成することができます。

脚本家として成功するためには、プロット構成を理解し、効果的に活用することが不可欠です。様々な作品を参考にしながら、自分自身のプロット構成を構築していくことを目指しましょう。

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