調剤事務の仕事は、薬剤師の業務をサポートし、患者さんと薬局をつなぐ重要な役割を担っています。近年では、医療現場のニーズが高まっていることから、調剤事務のスキルアップは、より一層求められています。
調剤事務としてスキルアップすることで、業務効率を向上させ、患者さんへの貢献度を高めることができます。また、キャリアアップの選択肢も広がり、よりやりがいのある仕事に就くことも可能です。
目次
調剤事務のスキルアップはなぜ重要なのか?
調剤事務の仕事は、一見、薬剤師の補助的な役割のように思えるかもしれません。しかし実際には、患者さんにとって薬局の顔となる重要な役割を担っています。
患者さんとの最初の接点は、多くの場合、調剤事務です。受付業務やレセプト業務だけでなく、患者さんからの質問に丁寧に答えること、薬の説明を分かりやすく伝えることなど、患者さんの不安を解消する役割も担っています。
さらに、調剤事務は薬剤師の業務を効率化することで、薬剤師がより多くの患者さんと向き合う時間を確保する役割も担っています。
調剤事務のスキルアップは、患者さんへのサービス向上と薬局全体の業務効率化に大きく貢献すると言えるでしょう。
調剤事務のスキルアップ方法
調剤事務のスキルアップ方法は、大きく分けて下記の3つがあります。
- 資格取得
- 研修・セミナーへの参加
- 自己学習
それぞれの方法について詳しく解説していきます。
1. 資格取得で専門性を高めよう
調剤事務の資格を取得することで、専門知識を深め、業務遂行能力を高めることができます。資格取得は、就職活動や転職活動においても有利に働くため、キャリアアップを目指す上で有効な手段です。
調剤事務の資格には、下記のような種類があります。
- 調剤事務管理士
- 調剤報酬請求事務専門士
- 調剤事務実務士
- 調剤報酬請求事務技能認定
- 調剤薬局事務検定試験
- 医療保険調剤報酬事務士
それぞれの資格の難易度や内容、取得方法などが異なりますので、自分の目標やキャリアプランに合わせて適切な資格を選びましょう。
【調剤事務管理士】
調剤事務管理士は、技能認定振興協会(JSMA)が主催する国家資格ではありません。難易度としては、比較的易しい部類に入るため、未経験者でも取得しやすい資格です。試験は年に6回実施されるため、試験の調整がしやすいという点でもメリットがあります。
調剤事務管理士の資格取得方法としては、専門学校や通信教育などで学ぶ方法がありますが、独学でも合格可能です。
【調剤報酬請求事務専門士】
調剤報酬請求事務専門士は、専門士検定協会が主催する資格試験です。試験は、比較的難しいと言われていますが、きちんと学習すれば独学でも取得が可能です。公式団体が取り扱っている出版教材を利用したり、eラーニングで勉強したりすることができます。
調剤報酬請求事務専門士の試験は年に2回実施されており、1級から3級までの級があります。
【調剤事務実務士】
調剤事務実務士は、特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が主催する資格試験です。受験資格は特にありませんが、試験は年に2回しか行われず、指定された教育機関での受講が必要です。試験の難易度は標準で、合格基準は受験者偏差値55以上または正答率80%以上です。合格率は約61%です。
【調剤報酬請求事務技能認定】
調剤報酬請求事務技能認定は、日本医療教育財団が主催する民間資格です。調剤薬局での調剤報酬請求事務スキルや知識を身につけた人材を育成するために作られました。この資格を取得するには、日本医療教育財団が認めたカリキュラムを受講して技能を習得し、修了試験に合格する必要があります。
【調剤薬局事務検定試験】
調剤薬局事務検定試験は、調剤請求事務に必要な知識を審査する日本医療事務協会主催の資格試験です。この資格を持っていると、未経験でも調剤薬局事務の基礎知識があるため、就職活動で自信を持って受け答えができます。試験は年に6回(奇数月の第3日曜日)実施され、受験資格は「調剤薬局事務講座(通学コース)」の受講生です。
【医療保険調剤報酬事務士】
医療保険調剤報酬事務士は、医療保険学院が主催する資格です。この資格を取得するには、医療保険学院が提供する通信講座を受講し、中間テストに合格する必要があります。その後、自宅で受験できる修了検定試験に合格することで、資格を取得できます。修了試験に不合格になった場合でも、受講開始後1年以内であれば再受験できます。
2. 研修・セミナーで実践的なスキルを磨こう
資格取得は、専門知識を深めるための有効な手段ですが、実際の業務でどのように活かすのか、具体的なノウハウを学ぶ機会は少ないかもしれません。
研修やセミナーに参加することで、実践的なスキルを習得し、業務効率を向上させることができます。
調剤事務向けの研修やセミナーには、下記のような内容のものがあります。
- レセプト業務の効率化
- 患者対応スキルアップ
- 薬剤師との連携強化
- 最新医療情報に関する知識
- 医薬品に関する知識
研修やセミナーは、薬局が独自に開催する場合もあれば、外部団体が主催する場合もあります。
自分が興味のある分野や、業務で必要としているスキルを磨ける研修を探してみましょう。
3. 自己学習で着実にスキルアップ
資格取得や研修・セミナー以外にも、自己学習によって着実にスキルアップすることも可能です。
自己学習の方法としては、下記のようなものがあります。
- 専門書を読む
- 医療情報サイトを閲覧する
- 医療系のニュースや雑誌を読む
- オンライン学習サイトを利用する
特に、調剤事務業務に直接役立つ情報や知識を収集し、実践に活かせるように意識することが大切です。
調剤事務のスキルアップで広がるキャリアパス
調剤事務のスキルアップは、業務効率の向上だけでなく、キャリアアップにもつながります。
調剤事務のスキルアップによって、下記のようなキャリアパスが考えられます。
- 薬局内の昇格
- 他の薬局への転職
- 医療事務関連の資格取得
- 医療業界への転職
- 独立開業
調剤事務の経験は、医療業界で幅広く役立つスキルです。スキルアップによって、自分のキャリアプランに合わせた道が開けていきます。
まとめ
調剤事務のスキルアップは、患者さんへのサービス向上、薬局全体の業務効率化、そして自身のキャリアアップに繋がる重要な要素です。
資格取得、研修・セミナーへの参加、自己学習など、自分に合った方法でスキルアップを目指しましょう。スキルアップによって、よりやりがいのある仕事に就き、医療業界で活躍できる道が開けていきます。
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